秋になり鈴虫の音でも聴こうと洛西の寺へ出かける
雨の降りそうな天気だったが強行
日本人には虫の音が心地良く聞こえるが、外人には
雑音らしい
日本人の特殊能力というより日本語の特殊性から
くるもののようだ
つまり外人も日本語を喋るようになれば虫の音が
心地良いメロデイーになってくる
世界は強勢強大豪華に酔いしれるが
小さな虫の音や自然の音を好む日本人
平和、高潔、勤勉を愛する民族としてこの小さな島で
独特な文明を築いてきた
三千匹の鈴虫が語る声を聴こうと多い時は三時間待ちの
行列ができるそうだ
今日は待つことなく訪問者も少なめであった
思い立ったら吉日である
鈴虫を聴きながらの30分の法話が面白く
飽きさせないので
こういう寺の僧侶はさすがにエンターテイナーと感心する
記念の菓子までもらい、得した気分
帰りには寺の入り口のお地蔵さまに感謝のお礼参りをした
最後に一句
妙徳山の鈴虫の声 平和、平和と聴こえる大和の国は
世に棲む虫
若い時は友人と連れ立ってぷらりぷらり歩いた
老人は一人でぷらぷらする
幾つかお気に入りの喫茶店を決めていて
今日はあの店のテラスに座わっていようと出かける
ボケっとしているだけでは阿保老人に見られるので
本とかタブレットなど用意していく
ギチギチ ヒラヒラ ヘラヘラ～とイヤホン付けて
音楽聴き、ご機嫌でいると
隣のテーブルに三人連れのお婆さんがやって来て
お喋りを始めた
彼女たちは時々かん高い笑い声をあげ、話に夢中である
死ぬまで喋る気か、沈思黙考を強いたら正気を失くすだろう
それだけならいいが
あの人私たちと同じぐらいの齢じゃない？
と他人の品定めまで始めた
ほっといてくれ
若い頃、公園で老人たちがゲートボールしている姿を見
年取ってもああいう仲間になりたくない
と何となく思っていた 今も同じである
孫の話とか自慢話を聞かされるだけだ
おまけに頭の壊れかけた老人は短気で癇癪持ち
すぐイガミあいを始める
自由気ままな一人が一番いい、天国だ
孤独のどこがいけないんだ
死ぬ時はみな独りだ
と居直る頑固な虫が世に棲みついている
青のセダン、家、傘、プランター
青に浸れ 老いも若きも
青紫の果実を口にする喜び
人生を愉しむならギターをかき鳴らす
青いデニムの男たちを見習うべきだ
風や光、流れる雲や山々の青い旋律は
神の静寂と知性の顕われ
高貴な青に永遠が貌を覗かせ、希望を湧き立たせてくれる
そして不可解な情熱も
人間的なものよりはるか高みの紺碧に身を浸したい
イカロスの狂気
東山魁夷など幾人もいるが
青春の日々、私にはセザンヌの青が喜びだった
しかし、青酸っぱい果実の種は毒をもつ
「青の時代」のピカソの自画像はどこのオッサンかと
思うほど老けていて
人生の厳しさに初めて直面した若者の貌だ
野卑な男を手なずけ跪かせる青の貴婦人
いい女でしょう 欲しくならない？
嫉妬に狂った愛が欲しいの
本気じゃないけど愛してる
未来に向かって羽ばたく生命守護の青の皇帝
青ラベルのポカリは飲む点滴でブルーチーズ、青魚、
ブルーベリーなどは血管を若返らせ、
認知機能を向上させると云う
青にはあらゆる困難を跳ね返す強さがある
最近それを認識させる出来事があった
ハワイ・マウイ島の激しい火災
あらゆるものが焼け灰塵と帰した風景の中で
青い家、傘、プランターが無傷のまま残る
とりわけ青のセダンは英雄だ
自動車博物館に展示すれば人々に勇気を与えるだろう
セレブの豪邸だけはレーザーをはじく青のフォトンで
防御されていたという笑えない出来事
1970年頃ショッキング・ブルーというバンドがあった
名曲＜悲しき鉄道員＞（Never Marry A Reilroadman )
ポカンとする時間が増え
老人は失われた楽園を懐かしみながら
あの頃一番衝撃だったのはレッド・ツエッペリン
ディランが軽戦車の軽機関銃ならツエッペリンは重戦車かりゅう弾砲
だな、と山下画伯みたいなことを云い出し
ショッキング・ブルーも永遠だねと呟く
（注）悲しき鉄道員 [日本語訳付き] ：
https://www.youtube.com/watch?v=vNS8-K7_uG4
画像元：https://www.youtube.com/watch?v=AZTuh0L7v7M
画像元：https://www.youtube.com/watch?v=GJELYzVPQTg
映画「ムーラン・ルージュ」主題歌 Lady Marmalade
画像元：https://www.youtube.com/watch?v=RQa7SvVCdZk
マウイ島大火災で無傷だった青のセダン
セレブの豪邸は燃えなかった
画像元：https://minnanonews.jp/main/kaigai/usa/1691743557/images/20230831083742-IMG_9912.jpeg
